関節リウマチ
関節リウマチとは自己免疫疾患の一つです。男女比は1:4と女性に多く、働き盛りの30-50歳代が発症のピークと考えられていますが、最近では、高齢になってから発症する方もいらっしゃいます。免疫の異常により関節を裏打ちしている滑膜という組織に持続的な炎症が生じる疾患で、典型的には手の指や足の指などの小さい関節に対称性に関節炎が生じますが、膝などの大きな関節が侵されることも少なくありません。薬物療法でしっかり炎症を抑えないと軟骨の破壊と骨には穴があいたようなびらんが生じ、最終的には充分機能しない関節になり、外観上も上肢、下肢の高度な変形なども生じます。また、頚椎なども侵されることもあり、それにより、手足が動かしづらくなったりすることもあります。日常生活が不自由になるだけではなく、内臓の病気も発生したり、寿命にも影響することがあります。まずは薬物による治療になりますが、治療の目的としては、① 関節の痛み・腫れをとること ② 関節の破壊を防止すること ③ 日常生活を不自由なく過ごすことができるようにすること です。院長は日本整形外科認定リウマチ医であり、診断・投薬・加療を行っていきます。
関節リウマチの初期症状として、朝に手を握ることが困難になったりする「こわばり」の症状がでてきます。昼頃には症状が改善していることが多くありますが、これが長く続くようになると、関節痛が起こるようになり、症状が進行していきます。さらに症状が進むと関節の変形等を起こすことがあります。
リウマチの炎症が続くと関節の機能が低下し、日常生活が不自由になるだけではなく、関節以外の症状として、肺や心臓も含めた血管などの障害で、内臓の病気を発生したり、寿命にも影響することがあります。
診断・治療
全身の関節腫脹で痛みのある関節の場所と個数、血液検査(抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA)、リウマチ因子(RA)、CRP, 赤血球沈降速度)、罹患期間などを考慮し、レントゲン, MRI, 超音波検査、CT等による画像検査も含めて、リウマチの診断基準に照らし合わせて、診断していきます。 ACPA は リウマチ患者の 60-70% が陽性となりますが、早期の場合には、陰性で、後に 陽性となる場合もあります。ACPA陰性の人でも リウマチの可能性はあります。
リウマチの治療の目的は、①滑膜炎を極力抑え、関節の腫れや痛みの改善をはかること ②関節の壊れを防ぐこと、③関節の動きや日常の生活動作を維持することです。リウマチは適切な治療が行われなければ、発症2年以内に患者さんの70~90%でレントゲン上骨びらん(関節破壊)が起こってしまします。そのため、リウマチと診断されたら、なるべく早くに抗リウマチ薬という薬で治療を始めます。抗リウマチ薬には、直接炎症や痛みを抑える作用はありませんが、リウマチの免疫異常を構成したり抑制することにより滑膜炎を抑える働きがあります。その中でも メトトレキサート (商品名:リウマトレックス、メトレート、メトトレキサートなど)は、免疫抑制作用を持つ抗リウマチ薬で、世界的に最もよく使用されている薬です。メトトレキサートはリウマチと診断されたらまずはじめに使うべき薬剤(第1選択薬)の一つであり、中心的役割をはたしているので、アンカー薬剤と呼ばれています。詳しくは、”メトトレキサートを服用する患者さんへ” (日本リウマチ学会) を御参照ください。
メトトレキサートによる治療で 不十分な場合には、異常に増加した、細菌やウイルスなどの病原体に働くサイトカイン(腫瘍壊死因子(TNFα)、インターロイキン6(IL-6))を抑える働き や 異常をきたした免疫細胞(T細胞)を抑える働きのある 生物学的製剤 など による治療を行います。
投薬により ”寛解” という炎症が限りなく低い状態まで改善すると、関節の軟骨や骨の壊れが止まり、リウマチの進行が止まります。もし、1種類の抗リウマチ薬で効果が不十分な場合は、複数の抗リウマチ薬を組み合わせて使ったり、生物学的製剤を加えて治療をします。関節の破壊などが進行してしまった場合には 人工関節など手術を考慮する場合があります。
院長は日本整形外科認定リウマチ医であり、診断・投薬・加療を行っていきます。重症度、合併症の有無によって、連携先の病院にご紹介させていただくこともあります。早めの診断・治療が重要ですので、こわばりの症状等がありましたら、先ずは当院にご相談ください。